花葬々(はなそうそう)

花葬々(はなそうそう)
舞った。舞った。
落ちた。落ちた。

とっても心地いい風が吹いてきたから
ぼくの体はふわっと浮かんで空中を舞った。

くるっと視界が回る。くるくるとぱたぱたと。
青空と太陽がぼくの周りを回転した。
思い出せば、永遠のように感じられた一瞬の時間。

気付くと僕は花に葬られていた。
記憶の中にいっしょに飛んだ友達がいた。
今は傍に。みんな押し黙って一言も発しはしなかった。

自分と同じように。

葬られたの友達であり、自分でもあったのだ。

そう、たしかぐぅっと体を押し付けられた気がした。
それから僕らはおしなべて風に流され、そしてふきだまったんだと思う。

今僕は墓地にいる。

押し競饅頭は気持ちよい。みんないっしょだから平気な気がした。
先が見えない恐怖をそうやって僕は押し殺した。

それよりもここは静かで暗くて気持ちがいいのだ。

上を見上げると、もう空は邪魔されて見えなかった。
あれだけ浴びた光はもう直接自分の体を見ることはないのだ。
悲しいかな、もう僕のピンク色の体は光に透けて輝くことができない。

そう、僕は葬られ、茶色く変色した残骸になりつつあった。

僕の邪魔をしている、僕を奈落に閉じ込めた犯人は赤いとても
きれいなツバキであった。でもこいつも僕と同じ。
近くに散乱する可憐な月。
そうすると僕らはその月に群れるカゲロウの群れといったところだろうか。

いっしょに葬られよう。花葬々。月夜の晩に。
ともに送られよう。花葬送。花とツバキも仲良くいっしょに。

僕らはそういう関係であったのです。今も昔も。
あったかい火はいまだ消えておらず。

僕はまた戻ってくるのです。赤く微笑む隣人とともに。

願わくば、またあなたの近くに生まれんことを。
そうして、あなたに一刻も早く気付き、
またあなたの傍に降りていきたい。

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